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第 10 条関係

第 10 条 この法律で使用者とは、事業主又は事業の経営担当者その他その事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為をするすべての者をいう。 第 10 条関係 <使用者の意義>  「使用者」とは本法各条の義務についての履行の責任者をいい、その認定は部長、課長等の形式にとらわれることなく各事業において、本法各条の義務について実質的に一定の権限を与えられているか否かによるが、かかる権限が与えられておらず、単に上司の命令の伝達者にすぎぬ場合は使用者とはみなされないこと。〔昭和 22・9・22 発基第 17 号〕 <下請負人>  下請負人がその雇用する労働者の労働力を自ら直接利用するとともに、当該業務を自己の業務として相手方(注文主)から独立して処理するものである限り、注文主と請負関係にあると認められるから、自然人である下請負人が、たとえ作業に従事することがあっても、法第 9 条の労働者ではなく、第 10 条にいう事業主である。〔昭和 23・1・9 基発第 14 号、昭和 63・3・14 基発第 150 号〕 <出向の場合>  出向とは、出向元と何らかの労働関係を保ちながら、出向先との聞において新たな労働契約関係に基づき相当期間継続的に勤務する形態であり、出向元との関係から在籍型出向と移籍型出向とに分類される。 (1)  在籍型出向  在籍型出向は、出向先と出向労働者との聞に出向元から委ねられた指揮命令関係ではなく、労働契約関係及びこれに基づく指揮命令関係がある形態である。出向先と出向労働者との聞に労働契約関係が存するか否かは、出向・派遣という名称によることなく出向先と労働者との間の労働関係の実態により、出向先が出向労働者に対する指揮命令権を有していることに加え、出向先が賃金の全部又は一部の支払いをすること、出向先の就業規則の適用があること、出向先が独自に出向労働者の労働条件を変更することがあること、出向先において社会・労働保険へ加入していること等総合的に勘案して判断すること。  在籍型出向の出向労働者については、出向元及び出向先の双方とそれぞれ労働契約関係があるので、出向元及び出向先に対しては、それぞれ労働契約関係が存する限度で労働基準法等の適用がある。すなわち、出向元、出向先及び出向労働者三者間の取決めによって定められた権限と責任に応じて出向元の使用者又...

第 9 条関係(5 その他)

5 その他  <組合専従職員の労働関係> 問 会社からは給料を受けず、その所属する組合より給料を受ける組合専従職員の労働関係は会社との間にはなくて組合との間にあり、労働組合員の専従職員を有する労働組合は、法第 8 条第 17 号の事務所に該当し、法の適用を受けると思われるが如何。 答(1)  組合専従職員と使用者との基本的な法律関係は、労働協約その他により労使の自由に定めるところによるが、使用者が専従職員に対し在籍のまま労働提供の義務を免除し、組合事務に専従することを認める場合には、労働基準法上当該会社との労働関係は存続するものと解される。 (2)  専従職員が労働組合の労働者に該当する場合又は労働組合が他に労働者を使用する場合は、労働組合の事務所は法第 8 条第 17 号の事務所と認められる。なお、専従職員が組合の労働者であるか否かについては昭和 23 年 1 月 9 日付基発第 14 号を参照されたい。〔昭和 24・6・13 基収第 1073 号、昭和 33・2・13 基発第 90 号〕 <放送協会に専属の管弦楽団、合唱団、劇団、効果団> 問 日本放送協会においては管弦楽団、合唱団、劇団、効果団の各個人と契約書によって出演契約を結んでいるが、この契約は左記の理由によって雇用契約ではなく、労働基準法は適用されないと解し、一般職員とは別個の取扱いをし、職員に対する服務規程も適用していないが差支えないか。 記 (一)  契約の内容 契約の名称は専属出演契約となっているが、出演者は一定量(月百五十数時間から百数時間まで各団各人によって異なる)までの出演を約諾し、協会はこれに対し定額の報酬金ご定量までの累積された出演料として)を支払うものに過ぎず、出演契約者は協会の発注を忌避しない限り協会以外の者といかなる出演契約をすることも自由である。 (二)  発注の条件 協会側は出演契約者を出演させるときは、その都度必ず従業 24 時間前(実際上は普通 4 日前まで)に発注することとなっており、その以後の発注には強制力がない。 (三)  出演上の条件 (1)  出演者の義務 出演者は、協会が指示する業務の演出者が何人であってもその指揮に従わなければならないが、これは協会の指揮に従うというのではなくその業務の芸術上の...

第 9 条関係(3 法人等の役員・4 学生)

3 法人等の役員 <法人、団体、組合の執行機関> 問 法人、団体又は組合等の場合において、その代表者又は執行機関である者がその法人、団体又は組合等より労働の対償として法第 11 条の規定による賃金を受ける者であるときは、法人、団体又は組合等の機関という立場においては他の労働者に対し使用者の地位に立つ者であるが、賃金支払を受ける立場においては法第 9 条の規定により労働者とも解せられるかどうか。 答 労働基準法にいう労働者とは、同法第 8 条にいう事業又は事務所に使用される者で賃金を支払われる者であるから、法人、団体、組合等の代表者又は執行機関たる者の如く、事業主体との関係において使用従属の関係に立たない者は労働者ではない〔昭和 23・1・9 基発第 14 号〕 <職員を兼ねる重役> 問 法人の重役は工場長、部長等の職にあって給料を受ける場合も労働者と見ないか。 答 法人の所謂重役で業務執行権又は代表権を持たない者が、工場長、部長の職にあって賃金を受ける場合は、その限りにおいて法第 9 条に規定する労働者である〔昭和 23・3・17 基発第 461 号〕 4  学生 <商船大学等の実習生>  標記のことについては、昭和 23 年 1 月 15 日付け基発第 49 号に基づき取り扱ってきたところであるが、最近の実態調査等によると、商船大学及び商船高等専門学校が機関関係の学科、課程の学生に対し民間の事業場に委託して行う工場実習は、一般に左記のような実態にあるものと認められるので、今後、この工場実習を受ける実習生については、当該事業場との関係において原則として労働者ではないものとして取り扱われたい。  なお、一般の大学の工学部等の学生又は工業高等専門学校の学生で工場実習を受けるものについては、実習の目的、内容、方法等が様々であると考えられるので、個々の実態に即して判断すべきであるが、これらの実習生であっても、下記と概ね同様の実態にある場合においては、原則として労働者ではないものとして取り扱って差し支えない。おって、昭和 23 年 1 月 15 日付け基発第 49 号は、本通達をもって廃止する。 記 1.実習の目的及び内容 (1)  商船大学及び商船高等専門学校(以下「大学等」という。)が機関関係の学科、課程の学生に対し民間の事業場に委託して行う工場実習(以下「実習」...

第 9 条関係(2 施設等に収容される者)

2 施設等に収容される者  <受刑者> 問 土木請負業者が刑務所より受刑者の労務供給を受け、下記により公共事業である河川工事を営む場合受刑者に対しても本法の適用があるか。 記  一、報酬は請負業者より直接刑務所に納入するものであること。  二、看守は受刑者の逃亡を監視するのみであること。  三、労働関係に関しては請負業者が監視するものであること。 答 受刑者は法第 9 条の労働者に該当しないから、質疑の場合にも本法の適用はない。〔昭和 23・3・24 基発第 498 号〕 <家庭裁判所から補導を委託された非行少年> 問 当局管内の下記事業場において、少年法により補導委託中に就業した非行少年の災害が発生しましたが、労働基準法第 9 条の労働者として取扱ってよいか、いささか疑義がありますので御教示いただきたくりん伺いたします。 記 事業場名  ○○市○○町○○番地 H産業有限会社 (労災保険成立記号番号○○) 被災者名 T(昭和 20 年 7 月 25 日生) 裁判所名  T家庭裁判所 補導委託先  ○○市○○町 O葡萄園         園長 O 事件の概要及び当局の意見 一、事件の端緒  昭和 39 年 10 月 1 日○○市○○町○○番地H産業有限会社(代表K)において午前 10 時頃、果物箱詰め等に使用する木毛を作るため、木毛機の作業をしていたT(満 19 才)が材料となる木を取換えようとした際、左手をすべらして木毛機の刃に接触し、左中指を第 1 指関節部から切断、同母指および示指に挫滅創を負い、土浦市内N病院に入院加療後 11 月 10 日退院したが、同人の木毛工場における就業の特殊性から、同人が労働基準法第 9 条にいう労働者であるか否かという疑義が生じたものである。 二、Tの就業事情 (1) TはY乳業店に住込み、牛乳配達の仕事に従事していたが、昭和 38 年 4 月から同 39 年 5 月までの間に、無免許運転、速度違反等の道路交通法違反 4 回を重ねた結果、本来 5 月 22 日の違反により運転停止 70 日の処分を受けた上T家庭裁判所に送致されて審判を受け、非行少年として少年法第 25 条によりT家裁調査官の試験観察に付せられ、同条第 2 項第 3 号にもとづいて、 9 月 2 日  補導委託先   ○○市○○町O葡萄園  園長 O 方に委託...

第 9 条関係(1 各形態における労働関係)

第9条 この法律で「労働者」とは、職業の種類を問わず、事業又は事務所(以下「事業」という。)に使用される者で、賃金を支払われる者をいう。 第 9 条関係 1  各形態における労働関係 イ 請負 <新聞配達人> 問 多くの新聞販売店は配達部数に応じ、配達人に報酬を与えているのであって、この販売店と配達人との関係は単なる請負関係であって、労働関係はなく従って労働者でないと見るを適当と考えるが如何。 答 配達部数に応じて報酬を与えているのは、単に賃金の支払形態が請負制となっているだけであって、一般に販売店と配達人との間には、使用従属関係が存在し、配達人も本法の労働者である場合が通例である。〔昭和 22・11・27 基発第 400 号〕 <新聞配達に従事する児童> 問 都市及び一般町制地における新聞読者密集地域にはないが、郊外地区並びに地方の農山村地域においては事業主(新聞販売所店主)は使用人としての専業従業員(配達人)にある一定数の新聞の配達を区域別に持たせているが専業従業員は自ら一部分の配達をなし、さらに残部を自己の責任において児童等を雇い配達させる。したがって店主と専業従業員との間には労働契約があるが、店主と児童等との間にはかかる関係は全然ない。児童はあくまで専業従業員の補助機関であり、一種の手伝的存在でしかあり得ない。右の場合専業従業員と配達児童との関係如何。 答 設例の場合は事業主(店主)と児童との間に労働関係が存するのであって、専業従業員は事業主のために児童を指揮命令しているものである。〔昭和 23・2・24 基発第 356 号〕 <大工> 問 次の場合労働基準法の適用は如何になるか。 (一)農家が家屋修理の為大工を雇う場合 (二)工場が建物修理の為大工を雇う場合 (三)官吏が家屋修理の為大工を雇う場合  右の場合次の 2 つの回答が考えられるが、何れが正しいか。 (1) 農業も工業も何れも法第 8 条の事業である。大工はいずれの場合においても使用されて賃金を支払われるから労働者である。従って(一)(二)何れの場合においても本法の適用がある。  官吏の場合は何等事業を営んでいないから適用はない。 (2) (一)(二)の場合、家屋修理のため、大工を使うことは事業本来の目的の為使用するのでないから本法は適用されない。 答 農家又は工場がその事業経営上必要な建物その他...

第 8 条関係

 # 本条は、平成10年改正により削除されました。改正前の条文のみを掲載します。  (適用事業の範囲) 第8条 この法律は、左の各号の一に該当する事業又は事務所について適用する。但し、同居の親族のみを使用する事業若しくは事務所又は家事使用人については適用しない。  一 物の製造、改造、加工、修理、浄洗、選別、包装、装飾、仕上、販売のためにする仕立、破壊若しくは解体又は材料の変造の事業(電気、ガス又は各種動力の発生、変更若しくは伝導の事業及び水道の事業を含む。)  二 鉱業、石切業その他土石又は鉱物採取の事業  三 土木、建築その他工作物の建設、改造、保存、修理、変更、破壊、解体又はその準備の事業  四 道路、鉄道、軌道、索道、船舶又は航空機による旅客又は貨物の運送の事業  五 船きよ、船舶、岸壁、波止場、停車場又は倉庫における貨物の取扱の事業  六 土地の耕作若しくは開墾又は植物の栽植、栽培、採取若しくは伐採の事業その他農林の事業  七 動物の飼育又は水産動植物の採捕若しくは養殖の事業その他の畜産、養蚕又は水産の事業  八 物品の販売、配給、保管若しくは賃貸又は理容の事業  九 金融、保険、媒介、周旋、集金、案内又は広告の事業  十 映画の制作又は映写、演劇その他興業の事業  十一 郵便又は電気通信の事業  十二 教育、研究又は調査の事業  十三 病者又は虚弱者の治療、看護その他保健衛生の事業  十四 旅館、料理店、飲食店、接客業又は娯楽場の事業  十五 焼却、清掃又は、と殺の事業  十六 前各号に該当しない官公署  十七 その他命令で定める事業又は事務所

第 7 条関係

 # 平成 17 年改正後の内容です。  (公民権行使の保障) 第 7 条 使用者は、労働者が労働時間中に、選挙権その他公民としての権利を行使し、又は公の職務を執行するために必要な時間を請求した場合においては、拒んではならない。但し、権利の行使又は公の職務の執行に妨げがない限り、請求された時刻を変更することができる。 第 7 条関係 <公民権行使の範囲>  本条の「公民」とは、国家又は公共団体の公務に参加する資格ある国民をいい、「公民としての権利」とは、公民に認められる国家又は公共団体の公務に参加する権利をいう。  例えば、「公民としての権利」には、①法令に根拠を有する公職の選挙権及び被選挙権②憲法の定める最高裁判所裁判官の国民審査(憲法第 79 条)③特別法の住民投票(同第 95 条)④憲法改正の国民投票(同第 96 条)⑤地方自治法による住民の直接請求⑥選挙権及び住民としての直接請求権の行使等の要件となる選挙人名簿の登録の申出(公職選挙法第 21 条)等がある。  また、訴権の行使は、一般には、公民としての権利の行使ではないが、行政事件訴訟法第 5 条に規定する民衆訴訟並びに公職選挙法第 25 条に規定する選挙人名簿に関する訴訟及び同法第 203 条、第 204 条、第 207 条、第 208 条、第 211 条に規定する選挙又は当選に関する訴訟は公民権の行使に該当する。〔昭和 63・3・14 基発第 150 号〕 <公の職務>  本条の「公の臓務」とは、法令に依拠を有するものに限られるが、法令に基づく公の職務のすべてをいうものではなく、①国又は地方公共団体の公務に民意を反映してその適正を図る職務、例えば、衆議院議員その他の議員、労働委員会の委員、陪審員、検察審査員、労働審判員、裁判員、法令に基づいて設置される審議会の委員等の職務②国又は地方公共団体の公務の公正妥当な執行を図る職務、例えば、民事訴訟法 271 条による証人・労働委員会の証人等の職務③地方公共団体の公務の適正な執行を監視するための職務、例えば、公職選挙法第 38 条第 1 項の選挙立会人等の職務等をいうものである。  なお、単に労務の提供を主たる目的とする職務は本条の「公の職務」には含まれず、したがって予備自衛官が自衛隊法第 70 条の規定による防衛召集又は同法第 71 条の規定による訓練...

第 6 条関係

 ( 中間搾取の排除) 第 6 条 何人も、法律に基いて許される場合の外、業として他人の就業に介入して利益を得てはならない。 第 6 条関係 <趣旨>  本条は、新憲法の個人の人格の尊重、基本的人権の確立の趣旨に則り、我園の労働関係に残存する封建的弊習たる親分子分の従属関係や労働者の人格を無視した賃金の頭ハネ等の絶滅を期するものである。労働関係の開始存続は、共に労働者又は労働組合と使用者との直接関係に於て、之を決定するのを理想とする。然し労務需給の状況により之が開始を悉く直接関係に期待することは不可能であるから、国は職業安定法及び船員職業安定法を設けて之が使宜の供与と弊害の取締りに当るのであるが、労働関係の存続について第三者が介在することは、弊害のみが多くてこれを必要とする事由は全くない。本条は、職業安定法及び船員職業安定法の規定する範囲よりも広く労働関係の開始についてのみならず、其の存続についても、第三者の介入することにより生ずる弊害を排除することを目的とするものである。〔昭和 23・3・2 基発第 381 号〕 <三者の関係>  本条の違反行為が成立するためには、「業として他人の就業に介入して利益を得る」第三者と「就業に介入」される労働関係の当事者、即ち使用者と被使用者の三者関係の存在が必要である。被使用者の中でも一の被使用者が、他の被使用者と使用者との労働関係に介在する場合には、本条違反を構成する。〔昭和 23・3・2 基発第 381 号〕 <何人もの範囲>  違反行為の主体は「他人の就業に介入して利益を得る」第三者であって、「何人も」とは本条の適用を受ける事業主に限定されず、個人、団体又は公人たると私人たるとを問わない。従って、公務員であっても、違反行為の主体となる。〔昭和 23・3・2 基発第 381 号〕 <業として利益を得るの意義>  「業として利益を得る」とは、営利を目的として、同種の行為を反覆継続することをいう。従って 1 回の行為であっても、反覆継続して利益を得る意思があれば充分である。主業として為されると副業として為されるとを関わない。  「利益」とは、手数料、報償金、金銭以外の財物等如何なる名称たるとを問わず、又有形無形なるとを問わない。使用者より利益を得る場合のみに限らず、労働者又は第三者より利益を得る場合をも含む。〔昭和 23・3・2 基...

第 5 条関係

  (強制労働の禁止) 第 5 条 使用者は、暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によつて、労働者の意思に反して労働を強制してはならない。 第 5 条関係 <趣旨>  わが国の労働関係には、今尚暴行脅迫等の手段によって労働を強制するという封建的悪習が残存しているが、従来かかる強制労働に対する直接の処罰規定がなく、僅かに同時に刑法犯を構成する場合に限って処罰し得るに過ぎず、しかも刑法による処罰は事実上殆ど行われなかった。憲法第 18 条は、国民の基本的人権として「何人もいかなる奴隷的拘束も受けない。又犯罪による処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服せられない」ことを保障している。労働基準法第 5 条は、この趣旨を労働関係について具体化し労働者の自由の侵害、基本的人権の蹂躙を厳罰を以て禁止し、以て今尚労働関係に残存する封建的悪習を払拭し、労働者の自由意志に基づく労働を保障せんとすることを目的とするものである。  既に 1930 年第 14 回国際労働会議で採決された「強制労働の禁止に関する条約案」においても「処罰の脅威の下に強要せられ且つ自ら任意に申出でたるに非ざる労務」たる強制労働を禁止することが確認せられていたのであるが、今回本条の制定により始めてこれが完全に実施せられることになったものであり、その意義は極めて大きい。〔昭和 23・3・2 基発第 381 号〕 <精神又は身体の自由を不当に拘束する手段>  「精神又は身体の自由を拘束する手段」とは精神の作用又は身体の行動を何らかの形で妨げられる状態を生じさせる方法をいう。「不当」とは本条の目的に照らしかつ個々の場合において、具体的にその諸条件をも考慮し、社会通念上是認し難い程度の手段の意である。したがって必ずしも「不法」なもののみに限られず、たとえ合法的であっても、「不当」なものとなることがある。賃金との相殺を伴わない前借金が周囲の具体的事情により労働者に明示のあるいは黙示の威圧を及ぼす場合の如きはその例である。かかる手段はそれ自体としては、労働者が主観的にその精神又は身体の自由を失うと否とにかかわらず、客観的に見て通常人がその自由を失う程度で足りるが、本条の場合この手段を用いることによって使用者が労働者の意志に反して、労働することを強制し得る程度であることが必要である。 (1)「暴行」...

第 4 条関係

 (男女同一賃金の原則) 第 4 条 使用者は、労働者が女性であることを理由として、賃金について、男性と差別的取扱いをしてはならない。 第 4 条関係 <趣旨>  本条の趣旨は、わが国における従来の国民経済の封建的構造のため、男子労働者に比較して一般に低位であった女子労働者の社会的、経済的地位の向上を賃金に関する差別待遇の廃止という面から、実現しようとするものであること。〔昭和 22・9・13 発基第 17 号〕 <女子であることを理由>  「女子であることを理由として」とは、労働者が女子であることのみを理由として、あるいは社会通念として又は当該事業場において女子労働者が一般的又は平均的に能率が悪いこと、勤続年散が短いこと、主たる生計の維持者ではないこと等を理由とすることの意であり、これらを理由として、女子労働者に対し賃金に差別をつけることは違法であること。〔昭和 22・9・13 発基第 17 号〕 <差別待遇を定める就業規則> 問 就業規則に労働者が女子であることを理由として、賃金について男子と差別的取扱いをする趣旨の規定があって、現実に男女差別待遇の事実がない場舎においても、法第 4 条に違反するものであると思料するが如何。 答 就業規則に法第 4 条違反の規定があるが現実に行われておらず、賃金の男女差別待遇の事実がなければ、その規定は無効ではあるが、法第 4 条違反とはならない。〔昭和 23・12・25 基収第 4281 号〕 <差別的取扱い>  職務、能率、技能、年齢、勤続年数等によって、賃金に個人的差異のあることは、本条に規定する差別的取扱いではないが、例えばこれらが同一である場合において、男子はすべて月給制、女子はすべて日給制とし、男子たる月給者がその労働日数の如何にかかわらず月に対する賃金が一定額であるに対し、女子たる日給者がその労働回数の多寡によってその月に対する賃金が前記の男子の一定額と異なる場合は法第 4 条違反であること。  なお、差別的取扱いをするとは、不利に取扱う場合のみならず有利に取扱う場合も含むものであること。〔昭和 22・9・13 発基第 17 号、昭和 25・11・22 婦発第 311 号、昭和 63・3・14 基発第 150 号〕

第 3 条関係

 (均等待遇) 第 3 条 使用者は,労働者の国籍,信条又は社会的身分を理由として,賃金,労働時間その他の労働条件について,差別的取扱をしてはならない。   第 3 条関係 <信条又は社会的身分>  信条とは、特定の宗教的もしくは政治的信念をいい、社会的身分とは、生来の身分をいうこと。〔昭和 22・9・13 発基第 17 号〕 <その他の労働条件の意義>  「その他の労働条件」には解雇、災害補償、安全衛生、寄宿舎等に関する条件も含む趣旨である。〔昭和 23・6・16 基収第 1365 号、昭和 63・3・14 基発第 150 号〕

第 2 条関係

 (労働条件の決定) 第 2 条 労働条件は、労働者と使用者が、対等の立場において決定すべきものである。 2 労働者及び使用者は、労働協約、就業規則及び労働契約を遵守し、誠実に各々その義務を履行しなければならない。 第 2 条関係 <第 2 条と監督機関>  労働基準法第 2 条は労働条件の決定及び之に伴う両当事者の義務に関する一般的原則を宣言する規定であるにとどまり、監督機関は右の一般的原則を具体的に適用すべき責務を負う機関ではないので、労働協約、就業規則又は労働契約の履行に関する争いについては、それが労働基準法各本条の規程に抵触するものでない限り、監督権行使に類する積極的な措置をなすべきものではなく、当事者間の交渉により、又はあっせん、調停、仲裁等の紛争処理機関、民事裁判所等において処理されるべきものであること。〔昭和 23・7・13 基発第 1016 号、昭和 63・3・14 基発第 150 号〕 

第 1 条関係

# 便宜のため、冒頭に条文を付します。 # 解釈例規は縦書き・漢数字ですが、本ブログでは横書き・アラビア数字を用います。  (労働条件の原則) 第1条 労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない。 2 この法律で定める労働条件の基準は最低のものであるから、労働関係の当事者は、この基準を理由として労働条件を低下させてはならないことはもとより、その向上を図るように努めなければならない。   第 1 条関係 1 趣旨 <趣旨>  本条は、労働者に人格として価値ある生活を営む必要を充すべき労働条件を保障することを宣明したものであって、本法各条の解釈にあたり基本観念として常に考慮されなければならない。〔昭和 22・9・13 発基第 17 号〕 2 人たるに値する生活 <人たるに値する生活>  労働者が人たるに値する生活を営むためには、その標準家族の生活をも含めて考えること。〔昭和 22・9・13 発基第 17 号〕 <標準家族> 問 労働者が人たるに値する生活を営むためには、その標準家族の生活をも含めて考えるとあるが、その「標準家族」とは扶養家族の何々を指称するか。 答 法第 1 条は、労働条件に関する基本原則を明かにしたものであって、標準家族の範囲はその時その社会の一般通念によって理解さるべきものである。〔昭和 22・11・27 基発第 401号 〕 3 労働条件の低下 <労働条件の低下>  第 2 項については、労働条件の低下がこの法律の基準を理由としているか否かに重点を置いて判断するものであり、社会経済情勢の変動等他に決定的な理由がある場合には本条に抵触するものでないこと。〔昭和 22・9・13 発基第 17 号、昭和 63・3・14 基発第 150 号〕 <有給休暇の日数> 問 法第 1 条第 2 項「この基準を理由として労働条件を低下させてはならない」という規定は、この法律中の他の規定によって 1 事業場の大部分の者の労働条件が低下する場合に適用されるか。例えば、或る会社において法施行前まで勤務年数及び出勤率の如何に拘らず一律に 19 日の年次有給休暇を与えていた場合、法第 39 条の規定によって年次有給休暇を与えると、継続勤務年数 14 年未満の者は、従来の制度より有給休暇が少くなるわけであるが、これは法にいう...

昭和 63 年 3 月 14 日基発第 150 号 通知文

  基発第 150 号 婦発第 47 号 昭和 63 年 3 月 14 日 都道府県労働基準局長 殿 労働省労働基準局長 労働省婦人局長 労働基準法関係解釈例規について  労働基準法に関する解釈例規は、昭和 22 年の法制定以来逐次発出されてきたところであるが、今般、労働基準法(第 8 章を除く。)及びこれに基づく命令に係るものについて全般的な見直しを行い、昭和 63 年 4 月 1 日以降は以下のとおりとすることとしたので、今後労働基準法(第 8 章を除く。)の解釈についてはこれによることとされたい。