第 9 条関係(5 その他)
5 その他
<組合専従職員の労働関係>
問 会社からは給料を受けず、その所属する組合より給料を受ける組合専従職員の労働関係は会社との間にはなくて組合との間にあり、労働組合員の専従職員を有する労働組合は、法第 8 条第 17 号の事務所に該当し、法の適用を受けると思われるが如何。
答(1) 組合専従職員と使用者との基本的な法律関係は、労働協約その他により労使の自由に定めるところによるが、使用者が専従職員に対し在籍のまま労働提供の義務を免除し、組合事務に専従することを認める場合には、労働基準法上当該会社との労働関係は存続するものと解される。
(2) 専従職員が労働組合の労働者に該当する場合又は労働組合が他に労働者を使用する場合は、労働組合の事務所は法第 8 条第 17 号の事務所と認められる。なお、専従職員が組合の労働者であるか否かについては昭和 23 年 1 月 9 日付基発第 14 号を参照されたい。〔昭和 24・6・13 基収第 1073 号、昭和 33・2・13 基発第 90 号〕
<放送協会に専属の管弦楽団、合唱団、劇団、効果団>
問 日本放送協会においては管弦楽団、合唱団、劇団、効果団の各個人と契約書によって出演契約を結んでいるが、この契約は左記の理由によって雇用契約ではなく、労働基準法は適用されないと解し、一般職員とは別個の取扱いをし、職員に対する服務規程も適用していないが差支えないか。
記
(一) 契約の内容 契約の名称は専属出演契約となっているが、出演者は一定量(月百五十数時間から百数時間まで各団各人によって異なる)までの出演を約諾し、協会はこれに対し定額の報酬金ご定量までの累積された出演料として)を支払うものに過ぎず、出演契約者は協会の発注を忌避しない限り協会以外の者といかなる出演契約をすることも自由である。
(二) 発注の条件 協会側は出演契約者を出演させるときは、その都度必ず従業 24 時間前(実際上は普通 4 日前まで)に発注することとなっており、その以後の発注には強制力がない。
(三) 出演上の条件
(1) 出演者の義務 出演者は、協会が指示する業務の演出者が何人であってもその指揮に従わなければならないが、これは協会の指揮に従うというのではなくその業務の芸術上の効果発揚のための要件である。
(2) 出演時間 出演(練習を含む)する時間は、午前 9 時から午後 10 時までの間であるが不定であり、また各人により異なるが、 1 日最低 1 時間半、最高 7、8 時間(実質休憩 2 時間位を含む)。
(3) 拘束時間 一応拘束時間とみなされるのは、発注のあった日の出演時間とその練習、準備を含めた発注時間内であり、その他の日及び時間は全く拘束しない。
答 設問の場合、出演契約の相手方である出演者は、一定の拘束条件のもとに労働を提供する義務を負い、またその労働の対償として報酬を受けており、契約の名称如何にかかわらず協会との間に使用従属関係が存在すると解され、したがって法第 9 条による労働者として取り扱わなければならない。ただし、演出について裁量を一任されている者についてはこの限りではない。したがって、本法にいう労働者に該当するものについては、時間外手当等の額が違法にならないよう注意されたい。〔昭和 24・7・7 基収第 2145 号〕
<地労委委員>
問 地方労働委員会の委員は知事が任免し知事が手当を支給し法令により公務に従事する職員であるので労働者であると考えるが、他面知事はこの職務の執行については指揮命令権なく又労働委員会は委員を以て構成されている合議制の機関であり、従って知事対委員及び委員会対委員の間には使用従属の関係がなく法第 9 条の「使用されるもの」とは実質上いい難い点もあるが如何に解すべきか。
答 労働委員会の委員は法第 9 条の労働者とは認められない。〔昭和 25・8・28 基収第 2414 号〕
<調教師、厩務員間の労働関係>
問 日本中央競馬会に所属する調教師(競走馬の調教、飼養管理にあたる者)と厩務員(競走馬の飼養管理の補助にあたる者)との間に、雇用関係があるか否かについては、競馬法に何等規定もなく、法律上この雇用関係については種々疑義があるものと思料されるので、参考資料御検討の上何分の回答をお願いする。
(参 考)調教師と厩務員の関係について
それぞれの機構と給与の関係について
日本中央競馬会の主催する競馬サークルには、競馬を主催するものと、競馬を実施するものとがあり、調教師及び厩務員は競馬を実施するものに属する。
実施するものには
馬主(競走馬の所有者)=調教師(競走馬の飼養管理調教にあたる者)=騎手(競走馬に騎乗し競走に出場する者)=厩務員(飼養管理を補助する者)があって、相互に関連性がある。
競馬法の定めるところによって馬主、調教師、騎手、厩務員は一定の手続と試験を経て承認又は免許せられる。
馬主は(日本中央競馬会施行規程第 12 条「馬主の代理人」)調教師を競馬に関する自己の代理人とし一切の事項を委任する。
このことにより馬主は調教師との間に馬を預託するため実費計算に基づく 1 ヵ月分の預託料の支払契約がなされる。調教師は預託馬の調教を行うため、馬の飼養管理を補助させるため厩務員を置く。(日本中央競馬会施行規程第 42 条)厩務員を雇用する場合は馬主に相談し、馬主の了解を受けることが先決で、時には馬主と厩務員が直接雇用契約をする場合もある。
等々いずれの場合にも馬主の意思にもとづくものが多い。この間の給与関係については、馬主から支払われる預託料実費を調教師が受領しそれぞれの者に支払われるのである。また、競走に出場した馬には主催者である競馬会より勝馬の賞金又は入着賞及び着外賞が馬主に支払われ、この支払われた賞金の中より進上金(歩合金)として、調教師に対し 100 分の 10、(騎手に対し 100 分の 5)厩務員に対し 100 分の 5 とそれぞれが支払われる。賞金の進上金(歩合金)についても馬主から調教師も厩務員も率は異なるが同様に支払われる立場にある。
また着外馬には(5 着以下の馬に対し)1 回出走毎に 10,000 円(サラ系)又は 7,000 円(アラ系)が着外賞として支払われる。そのうち 500 円が厩務員に支払われる。調教師には支払われない。その他 1 競走毎に主催者の日本中央競馬会より調教師には調教師賞(騎手には騎手賞、騎乗料)、厩務員には厩務員賞がそれぞれの技術に対する奨励金として支払われる制度となっている。
なお調教師(騎手)、厩務員の福祉については日本中央競馬会基金により、その外郭団体たる競馬共助会が規定により、医療の給付又は家族給付、勤続給付を行っているので健康保険に加入はしていない。
以上調教師と厩務員との関係又は給与関係、共済関係について参考として申し上げる。
答 調教師と厩務員の間には、特殊の例外的な場合を除き、次の理由により、一般に労働関係が存し、調教師は労働基準法上の使用者と認められる。
1 調教師は、馬主と締結した競走馬の預託契約に基づき、馬の調教及び飼養管理を行い、一定の報酬を受けていること。
すなわち、調教師は平均 20 頭程度の競走馬をそれぞれの馬主から受託し、馬主の具体的指揮監督を受けることなく、自己の技術、能力の範囲内で自由に調教及び飼養管理を行い、その費用及び報酬として一定の預託料を受け、また、調教の成果として調教師賞及び進上金等の収入を得ているものであること。
2 厩務員は、調教師の指揮監督のもとに馬の飼養管理に従事する労働者であること。すなわち、
(一) 作業指揮関係
(1) 午前午後 2 回の運動、飼料の与え方、馬の手入、寝藁乾燥、草刈り、及び厩舎清掃の厩務員の作業は、調教師の指揮監督に従っていること。
(2) 遅刻、出欠については、調教師の監視を受け、私用のため作業ができないときは、調教師の承認を得ていること。
(3) 持馬の異状を発見したときは、常に調教師に連絡じ、指示された措置をとっていること。
(4) 勤務成績不良その他厩務員の責に帰すべき行為があった場合は、懲戒されることがあること。
(二) 雇入、解雇関係
(1) 厩務員の雇入については、調教師が個人的に知っている者を自己の名において直接雇入れていること。また、日本中央競馬会施行規程第 42 条により調教師が厩務員を置こうとするときは、競馬場長又はトレーニングセンターの上長の承認を受けなければならないが、これは競馬場その他の競馬関係施設の管理権に基づく規制であるに過ぎないこと。
(2) 馬主が所有馬を売却した場合または、他の調教師に預託替した場合も調教師が解雇の意志表示をしない限り、厩務員の使用関係はそのまま継続していること。
(3) 勤務成績が不良な厩務員に対しては、調教師が独断で解雇しており、馬主その他の者の関与を受けていないこと。
(三) 賃金その他の労働条件の決定関係
(1) 厩務員の労働時間、始業、終業の時刻は調教師が決定していること。
(2) 厩務員の賃金は、預託契約において定められ、事実上これに拘束されているが、これは預託料の算出根拠として調教師、馬主間で決定したものであり、労働契約上の賃金は、これと別個に決定し得るものであって、現実にもそのような場合がみられること。
3 厩務員と日本中央競馬会、競馬共助会若しくは馬主との間には労働関係の存在が認められないこと。すなわち、
(1) 馬主の持馬が競走に出場した場合は、進上金又は着外賞として一定の金銭が馬主から調教師を通じて厩務員に支払われているが、この外に厩務員に対して直接にも間接にも指揮監督を行っていると認むべき事情がないので馬主、厩務員間の労働関係の存在を肯定することはできないこと。
(2) 日本中央競馬会より優秀な厩務員に対し厩務員賞として一定の金銭が支払われる場合があるが、これは、競馬主催者の立場からする厩務員の技術奨励制度であって、労働関係に基づく対価とは認められないこと。
(3) 厩務員に対しては、災害補償費的性質の金銭が競馬共助会より給付されているが、競馬共助会は、任意加入の共済組織であり、また、厩務員に対して直接にも間接にも指揮監督を行っていないので厩務員との間に労働関係を認めることはできないこと。
(4) 競馬共助会の資金の大部分は、日本中央競馬会で負担しており、実質的には日本中央競馬会が前記災害補償費的性質の金銭を厩務員に支給していると認められるふしもあるが、日本中央競馬会は直接にも間接にも厩務員を指揮監督していると認めるべき事情がないので、厩務員との間に労働関係を認めることができないこと。〔昭和 32・10・18 基収第 6819 号〕
<いか釣漁業の従事者>
1 函館地方におけるいか釣漁業には左記の事由に基き特殊の例外的な場合を除き、一般に労働関係があり従って労働基準法及び労働者災害補償保険法の適用を受けること。
(一) 船主は船その他の漁業施設を所有し、漁獲物の多寡によって、即ち漁夫の労働によって利潤を得る漁業事業者であり、漁夫は船主の有する船その他の漁業施設を利用して漁獲に従事するものであること。
(二) 船主は経済的に資本を有し、漁夫は主として労働力をもって生活の資を得ている者であること、即ち函館市の例によれば、船主は船その他 100 万円程度の資本を投下して 1 漁期十数万円の純益を得るが、漁夫の所得は 1 漁期に 3 万円程度であること。
(三) 船主と漁夫との関係は少くとも 1 漁期中は特別の事由のない限り継続的であること。
(四) 漁夫は少くともいか漁期中は専らいか漁業に従事し、この漁期以外にも他の漁業に従事するのが通常であること。なお、函館地方においては漁夫は漁業組合に加入しており、組合費を納入し登録をうけて優先乗船すること。
(五) 乗船の可否は船主又はそれに代る船頭が決定する権能を有し、通常漁期の開始の際に乗船者が決定されるとと。
(六) 漁夫が船を取りかえる場合には、前の船の船頭に了解を得るのが通常であること。
(七) 漁夫の作業日、作業時間は、専ら船主又は船頭の決定する船の運航によって定まること。
(八) 一般に漁業の作業方法は単純であり、特にいか釣においては、網による漁業と異り、分業が行われないで、個人作業を主とするため船主又は船頭からの漁夫に対する作業上の指揮監督は顕著でないが、慣習的に次の如き指揮監督が行われていること。
(1) 船頭は、航海上の責任者として船の運航について責任と権限を有していること。
(2) 荒天その他の事由によって、出漁しない日には船着場附近に旗が揚げられること。
(3) 船上における漁夫の座席は、抽籤等により、毎日交替することが通常であるが、年少者等能力の低い者は船首船尾等の不利な場所に固定させられること。
(4) 出漁の際のとも綱の解攬、作業終了後の甲板の掃除等の船員の行う作業を漁夫が行うこと。
(5) 漁場附近に到達した場合又は漁場内で船を移動する場合、漁群発見のため漁夫が一定の交替方法で作業を継続し、漁群を発見した際に各人に連絡するのが通常であること。
(6) 著しく能力の低い者、著しく怠情な者については、乗船を拒否することもあり、少くとも次の漁期には、他の漁夫と取替えること。
(九) 函館市附近においては、漁獲物は各人の漁獲量を計量した後、船主において一括処分し、漁夫に対し各人の漁獲量に応じて毎月 2 回現金にて漁獲量の 5 割を提供するのが通例であること。但し福島町その他郡部においては、各人の漁獲量を計量した後、各漁夫が加工してその加工品の 3 割を船主に提供しているが、その事実は労働関係の存在を否定するものとは認め難いこと。なお石川、富山等本州からいか漁業を目的として漁期中来函している船においては、漁獲物を個人別に計量せず網漁業と同様の方法により、賃金を分配する。
2 なお、業として、いか釣に従事する者以外の者が、たまたま乗船していか釣に従事する場合には、労働関係がない場合もあると考えられるから、これについては、具体的事実に即して判断すること。〔昭和 25・12・7 基収第 3492 号〕
<市町村の固定資産評価員>
問 市町村の固定資産評価員の性格は、その選任は地方税法(昭和 25 年法律第 226 号)第 404 条により市町村長が当該市町村議会の同意を得て行うものであり、地方公務員法第 3 条第 3 項第 1 号の特別職に該当するものであるが、市町村長の指揮を受けて市町村の事務の一部を補助する立場にあり市町村長に対し使用従属の関係を有するものと認められるので、労働基準法上の労働者とも解されるが、いささか疑義があるので、何分の御指示を願いたい。
答 固定資産評価員は、地方税法第 404 条によれば市町村長の指揮を受けて固定資産を適正に評価しかつ、市町村長が行う価格の決定を補助するものであって、地方公務員法第 3 条第 3 項第 1 号の特別職に該当し、給料又は報酬の支給を受ける職員であるから市町村長と使用従属関係にある労働基準法第 9 条の労働者と解される。追って、本件は自治庁と打合せ済みのものであるから念のため。〔昭和 28・7・6 基収第 2683 号〕
<鳥獣保護員>
問 福島県鳥獣保護員は、次のような勤務態様の下で、業務を行っている。これについては、労働基準法第 9 条の労働者であると思料されるが如何。
記
(1) 林業事務所に配置され、担当地域は 1 ないし 4 市町村である。
(2) 県の指示により、林業事務所長が年間又は月間の業務計画及び各月の重点実施事項を定め、毎月 1 回鳥獣保護員を林業事務所に集合させて、それを鳥獣保護員に指示している。
(3) 勤務日数が指定されている(猟期中は週 2 回、休猟期には月 2 回)が、期日、時間は指定されていない。ただし、鳥獣保護員手帳の所要欄に業務に従事した日、時間等を記録する。
(4) 勤務時間は、毎月鳥獣保護員が提出する巡視状況報告書及び前記鳥獣保護員手帳の記録の検印により把握している。
(5) 緊急連絡の義務がある。
答 照会のあった件について、左記のとおり回答する。
なお、本件については、自治省行政局(公務員課)とも打合せ済みであるので、念のため申し添える。
記
御照会のあった鳥獣保護員は、福島県鳥獣保護員規程(昭和 38 年 11 月 22 日福島県訓令第 32 号)によれば、林業事務所長の指揮監督を受けて鳥獣保護及び狩猟に関する業務に従事する者であって、地方公務員法第 3 条第 3 項第 3 号の特別職に該当し、その業務に従事したことに対して委嘱通知書に示された報酬を支払われるのであるから労働基準法第 9 条の労働者であると解される。〔昭和 40・10・13 基収第 5923 号〕
<宗教団体>
〔昭和 27・2・5 基発第 49 号〕 第 8 条関係参照
<農村における公役>
〔昭和 24・6・13 基収第 1730 号〕 第 8 条関係参照
<委託契約による学校用務員等>
〔昭和 44・4・7 基収第 343 号〕 第 41 条第 3 号関係参照
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