第 9 条関係(1 各形態における労働関係)
第9条 この法律で「労働者」とは、職業の種類を問わず、事業又は事務所(以下「事業」という。)に使用される者で、賃金を支払われる者をいう。
第 9 条関係
1 各形態における労働関係
イ 請負
<新聞配達人>
問 多くの新聞販売店は配達部数に応じ、配達人に報酬を与えているのであって、この販売店と配達人との関係は単なる請負関係であって、労働関係はなく従って労働者でないと見るを適当と考えるが如何。
答 配達部数に応じて報酬を与えているのは、単に賃金の支払形態が請負制となっているだけであって、一般に販売店と配達人との間には、使用従属関係が存在し、配達人も本法の労働者である場合が通例である。〔昭和 22・11・27 基発第 400 号〕
<新聞配達に従事する児童>
問 都市及び一般町制地における新聞読者密集地域にはないが、郊外地区並びに地方の農山村地域においては事業主(新聞販売所店主)は使用人としての専業従業員(配達人)にある一定数の新聞の配達を区域別に持たせているが専業従業員は自ら一部分の配達をなし、さらに残部を自己の責任において児童等を雇い配達させる。したがって店主と専業従業員との間には労働契約があるが、店主と児童等との間にはかかる関係は全然ない。児童はあくまで専業従業員の補助機関であり、一種の手伝的存在でしかあり得ない。右の場合専業従業員と配達児童との関係如何。
答 設例の場合は事業主(店主)と児童との間に労働関係が存するのであって、専業従業員は事業主のために児童を指揮命令しているものである。〔昭和 23・2・24 基発第 356 号〕
<大工>
問 次の場合労働基準法の適用は如何になるか。
(一)農家が家屋修理の為大工を雇う場合
(二)工場が建物修理の為大工を雇う場合
(三)官吏が家屋修理の為大工を雇う場合
右の場合次の 2 つの回答が考えられるが、何れが正しいか。
(1) 農業も工業も何れも法第 8 条の事業である。大工はいずれの場合においても使用されて賃金を支払われるから労働者である。従って(一)(二)何れの場合においても本法の適用がある。
官吏の場合は何等事業を営んでいないから適用はない。
(2) (一)(二)の場合、家屋修理のため、大工を使うことは事業本来の目的の為使用するのでないから本法は適用されない。
答 農家又は工場がその事業経営上必要な建物その他の施設を大工に修理させる場合は、一般に請負契約によることが多いが、請負契約によらず雇用契約によりその事業主と大工との問に使用従属関係が認められる場合は、法第 9 条の労働者であるから、基準法の適用を受ける。なお、基準法の適用は該事業固有の業務に従事する労働者であるか附随的業務に従事する労働者であるかによって差異はない。
設問(三)については見解の通り。〔昭和 23・12・25 基収第 4281 号〕
ロ 委任
<生命保険の外務員>
問 生命保険会社の保険契約の募集勧誘に従事する者は、従来からその所属保険会社との間に使用関係の実体のない者が大部分であったが、労働基準法の施行に伴い、その性格を明確にすることが必要となった。よって今回、生命保険契約の募集勧誘に従事する者を左記のように募集職員と保険外務員との 2 種に分つことにしたいが如何。
(1) 生命保険契約の募集勧誘に従事する者で保険会社に使用せられる者はこれを募集職員とし、使用人以外のものはこれを保険外務員とする。
(2) 保険外務員
一 所属会社との契約は委任による。
二 保険外務員はその成績に応じて受任事務の処理経費及び報酬を受けることができる。
三 保険外務員の名称は会社により嘱託、賛助員又は外務嘱託等の名称を用いてもよいが、職員と紛らわしい名称は用いない。
四 所属会社は保険外務員の労働の時間及び場所等を制限することはできない。但し委任契約によって募集地域を委任することは差支えない。
(3) 募集職員
一 所属会社との契約は雇用契約による。
二 労働基準法第 27 条に規定する保障給は、 1 人月額 1000 円程度とする。
三 就業規則を設ける。
四 平均賃金中には募集手数料を含むも旅費はこれを含まない。右の旅費は、取扱新契約 1 千円につき 9 円以下とする。
答 設例の場合は労働基準法の適用は募集職員にのみ限られることになるが、なおたとえ保険外務員と称する者であっても実質上労働関係が存するとみなされるときは、法の適用があるから念のため申し添える。〔昭和 33・1・9 基発第 13 号〕
<消防団員>
問 消防団員は、その任免、給与、服務その他の事項については、市町村条例で定められるが、本団員の特質として、多くのものは、日常自己の業務に従事して火災等の場合のみ出動し、消防等の業務に従事するものであり、その報酬も左記のごとく様々である。これに対する労働基準法の適用につき疑問があるので御回示願いたい。
記
市町村長又は市町村長の委任をうけた機関が、団員の任免権を持っている場合で、かつ、非常勤務者の場合
(1) 出勤(動)の都度、手当(例えば 1 回 100 円)を受けるもの
(2)年手当(例えば月割支給等でなく年手当 500 円、又は絆(ママ)纏 1 着等の現物のみ)を受けるもの
(3)何等の支給をも受けないもの
答 非常勤の消防団員であって火災、堤防の決壊等限られた場合のみ出動するものについては、労働基準法は適用されない。
なお、これ等労働基準法適用なき者が、公務によって傷害等を受けた場合には、消防組織法(昭和 22 年法律第 226 号)第 15 条の 7 の規定により市町村から補償を受けることになっている。〔昭和 24・1・10 基収第 3306 号、昭和 33・2・13 基発第 90 号〕
ハ 共同経営等
<共同経営の事業>
問 共同経営の事業において出資しながら、賃金を受け働いている者は労働者として本法の適用をうけるか。
答 共同経営事業の出資者であっても当該組合又は法人との間に使用従属関係があり賃金を受けて働いている場合には、法第 9 条の労働者である。〔昭和 23・3・24 基発第 498 号〕
<競輪選手>
市営競輪及び県営競輪へ出場した出走選手が競走中転倒して選手 22 名が何れも全治 1 カ月程度の負傷により見舞金規定により治療を受け、これがため法第 8 章の災害補償の問題が発生したが右出走選手は法第 9 条の労働者と解されるか。
答 自転車競走に参加しようとする者は、一定の手数料を添えて競走参加を申込み自転車競走施行者はその資格健康状態を検査の上所定の方式によって出場を許すものであって、自転車競走施行者は参加者に競走の場を提供するものである。又参加者に支給される日当及び宿泊料は実費弁償とし支給されるものであり、賞金は競走参加の目的物であるから、共に労働の対償として支給されるものではなく、従って自転車競走参加者は法第 9 条の労働者ではない。〔昭和 25・4・24 基収第 4080 号〕
<あんま師、はり灸師>
問 当局管内において、特定のあんま、はり灸治療院に所属している、あんま師、はり灸師の労働組合が昨年 10 月結成されましたが、先般当局に対し、治療院経営者(いわゆる席主)と所属あんま師、はり灸師との間に労働関係ありやとの質疑がなされたので、当局においては、全国的な関連のあることも考慮し、慎重に実態を調査したところ、次のとおり疑義を生じましたので何分の御教示をいただきたく稟伺します。
記
1 当局管内におけるあんま業の概要
(1) 業界の規模
(イ) ○○市内において、あんま、はり灸にたずさわっている者約 800 名と推定される。
(ロ) 以上のうち独立営業者は約 400 名、一定の席主に属している者約 400 名と推定される。
(ハ) あんま師、はり灸師をかかえている者約 40 件、うち 30 名以上かかえているもの 4 件である。
(2) あんま師の男女別等内訳について
あんま師の年齢層、経験年数、男女別、障害者、晴眼者別、通勤住込別等の人数は不明であるが、大要次の如き傾向がみられる。
(イ) 目下のところ晴限、障害者の比は概ね半々であるが、
(ロ)需要者の好みもあって、若い晴眼者の女性がふえつつある。
(ハ)無資格者が約 10 %程度いるものと推定される。
(3) 就業時刻等について
(イ) 通勤者は午前 11 時ないし、午後 5 時に出勤し、翌午前 1 時前後まで勤務する者が多い。
(ロ) 住込者は午前 10 時ないし 12 時頃より待機し、午前 1 時前後まで勤務する者が多い。
(ハ) あんま師は「あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律」に基づき、文部省文は厚生省の認可を得た学校等で最低 2 年の修業を要するが、席主のもとに住込み通学中の者もあり、これ等は就学時間以外に見習と称して施療に当たっている。
(ニ) 休日は月 2 日ないし 4 日あるものが多いが、日を特定することはない。
(ホ) 就労は客の指名による場合と、指名のないときは順番制による場合とがある。
(4) 料金等について
(イ) あんま師の就労は出仕事と内仕事に分けられるが前者は 1 時間 250 円、後者は 1 時間 200 円である。あんまと同時にはり灸を施した場合は更に加算される。
(ロ) 料金はあんま師が直接客からもらう場合が多いが、まれにひいきの旅館等から 1 カ月毎に治療院へ一括支払われることもある。
また、内仕事の場合は客がチケットを受付で買い治療に当たったあんま師が受け取り席主に差し出して一定の歩合をもらう。
(ハ) あんま師の収入は○○市内中心部、周辺部により或は規模の大小、席主の性格等により異なるが、概ね通勤者の場合は料金の 50―70%が取分になり 50―30%が名義料、営業費の名のもとに席主の取分となる。
また、住込者にあっては光熱費を席主、席主の家族分も含め頭割りで支払い、炊事代は住込者が共同で経理するもの、あるいは食事代、名義料を含め稼ぎ高の 70%を席主に支払うもの等がある。
(ニ) 市内中心部で午前 11 時―翌午前 3 時頃まで就労して 1 カ月最高手取り 45,000 円程度と推定される。
2 疑 義
概要以上のとおりであるが、あんま師の実態については前述のとおり地域、規模等によって、例えば休日や外出を自由に取り扱っているものもある等かなりの差異が認められるので、あんま、はり灸治療院において、あんま師、はり灸師をかかえ営業している者は、たとえ共同経営等と称しても、次の各号のすべてに該当する場合を除き席主とあんま師、はり灸師との間に実質的な使用従属関係があるものと認めてよいか。
(1) 席主の取分は治療院の看板料等と称しているが、名義の如何を問わず、あんま師の稼ぎ高の一部を稼ぎ高に応じて席主に支払っていないこと。
(2) 食費額があんま師の稼ぎ高に関係なく一定していること。
(3) 部屋代、光熱費等があんま師の稼ぎ高に関係なく一定しており、席主やその家族が負担すべきものまで負担していないこと。
(4) 料金は全額を直接あんま師が客より受け取ること。
(5) あんま師の外出、外泊、欠勤は、事前又は事後に席主に届出若しくは承認を要することなく自由であること。
(6) 出勤、退勤の時刻が拘束されず、完全に自由であり、遅刻、早退の場合席主に届出や承認を要しないこと。
(7) 客より施療依頼に対して、指名による場合を除き、席主が所属あんま師のうちから特定の者を選択する余地がないこと。
(8) あんま師の就労に当たっては、席主に示された場所に制限されることなく、自由に就労出来ること。
答 あんま、はり灸治療院において、あんま師、はり師、灸師等を院内に待機させ、それらの者に営業をさせている場合は、たとえ共同経営等と称していても、次の各号のすべてに該当する場合を除き、院主とあんま師等との間に実質的な使用従属関係があるものと認められる。
(1) 看板料等の名目で、あんま師等の稼高の一部を稼高に応じて院主に支払っていないこと。
(2) 食費の額があんま師等の稼高に関係なく一定していること。
(3) 部屋代、光熱費等があんま師等の稼高に関係なく、一定していること。
(4) あんま、はり灸の施療料金は、客又はその代理人から施療をしたあんま師等が直接全額受け取ること。
(5) あんま師等の外出、外泊の自由は、院主によって制限されていないこと。
(6) あんま師等の営業の自由、休業の自由は、院主によって制限されていないこと。
(7) 施療の実施については、順番制等によることとし、院主が所属あんま師等のうちから特定の者を自由に選択、指示することがないこと。
(8) 施療に当たっては、院主に示された場所に制限されることなく、自由であること。〔昭和 36・4・19 基収第 800 号〕
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